このブログについて。
当ブログは、管理人が目についたり興味を持ったアニメを見て、その感想を個人的な視点で書くブログです。
今後は下記のスタンスで更新していくつもりです。
- ジャンル、年代、話数、発表形態は不問です。
- たいていはテレビ放送、OVA、劇場版になると思います。
- ストーリー、演出、音楽、キャラクターといった切り口でそれぞれレビューします。
- まとめとして、人にどこがどれだけ勧められるか?という基準でまとめます。
- マイナスと感じた部分も率直に書きます。
以下、いずれもできる限り、です。
- ネタバレを含まないように書きます。
- 数分で読み終わる長さで書くつもりです。
- 予備知識なくアニメの内容だけでレビューをしたいスタンスです。
- ...とはいえ、仕入れてしまった知識は加味します。それぐらいのゆるさです。
- 一度見たアニメもレビュー前に見直しています。
- 集中して見たいと考えていますが、見落としている場合も少なからずあります。誤りは指摘いただければと思います。
- あくまで個人的な視点で書きます。好みにかなり左右されると思います。
- だいたい2週間に1回のペースで更新のつもりです。ただし、その時見てるアニメの話数に左右されます。
- 他のやりたいことに気が向いた瞬間に、更新をやめると思います。
これからよろしくお願いします。
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ブログを移転しました。
まだ始めたばっかで恐縮ですが、ブログを移転させました。
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【アニメ】「魔法科高校の劣等生」レビュー
Webページ:
「さすおに」がこのアニメのすべてを表現してる。
ストーリー
司波達也は、妹の司波深雪とともに、国立魔法大学付属第一高等学校に入学を果たした。
だが、この魔法科高校には、一科と二科、ブルームとウィードという魔法実技による区別がなされていた。
二科生として入学した達也は、その学校生活においてその才能を発揮していくこととなる。
本作の最大の魅力は、その作り込まれた魔法と世界観の設定である。
そして、至るところでブレない、俺TUEEEというジャンルの体現である。
この2つが好きになれるか(許容できるか)どうかが、本作の好き・嫌いを左右すると言っても過言じゃない。
魔法と世界観の設定だが、1回見たくらいではあまり理解できない。
また、外部の解説がなければ何が起こっているのかさっぱり理解できない場面も多い。
たった一言の技名や組織名で説明を済ませられる場面すらあるほどだ。
そういった細かな設定について、外部の解説を使いつつ理解するおもしろさが、本作の魅力ではある。
もうひとつが、完璧なまでの俺TUEEEというジャンルの体現である。
俺TUEEEというジャンルは、主人公の強さやカッコよさを際立たせることが、設定や世界観の最優先事項となる。
※正確に言えばこれは逆で、設定や世界観により、主人公を最大限魅力的に見せているコンテンツが、俺TUEEというジャンルに分類される。
これはこれで、ゲームでいうところの真・三国無双などの爽快感ともいうべきか、そういったベクトルのおもしろさがあるのは確かだ。
...が、これらが好きかどうかは分かれるところではある。
身も蓋もない言い方をすれば、とても中二病臭いアニメである。
いかにもライトノベルっぽいとも言える。
決してバカにしているわけではなく。
個人的には、本作は本作で気に入っているのである。
一方で気になることはある。
ひとつは、「この主人公は本当に妹に対する感情以外は無くしているのか?」ということである。
想像でしかないが、感情がないということは、何かに興味を持つこともないし、おもしろいことをしようという発想も持たないのではないか。
つまり、元・生徒会長に据え膳なら云々と言ったり、魔法のおもしろい使い方を見て新しい武器を作ったり...というのはおかしくないか?ということだ。
設定を重視するアニメであるため、やはりそのあたりは気になってしまう。
それとも、設定重視は魔法と世界観のみで、キャラクターは対象外なのだろうか。
そうだったとしても、あらゆることが達也に都合のいいように設定、描写されているように見えてしまうのが、やはり気になる。
いや、それが俺TUEEEEというジャンルであり、そういうものでもあるので、単に合うかどうか...という話である気もする。
もうひとつが、キャラクターが多すぎかな。
も少し減らしてもいいんじゃないだろうか。
多すぎて、キャラの深掘りが足りてない気がしてならない。
一方で、ちゃんと描きわけができているのは素晴らしい。
脇役でもキャラのビジュアルにそれぞれ特徴があって、名前は覚えていないけどアイツいたなぁとちゃんと認識できるくらいになってるのである。
しかも、昨今ありがちなモブキャラ含めみんな可愛い・イケメンではなく、そうではないキャラもちゃんといるのが素晴らしい。
演出
魔法の演出はスタイリッシュさを意識してるのか、厨二くささを意識してるのか、カッコいいかなとは思う。
魔法をきちんと論理的に扱っていつつ、その発現や演出をあんな風にスタイリッシュに表現できるのは、このアニメならではだと感じる。
そういった演出も、このアニメの魅力のひとつだ。
音楽
1クール目のOPが個人的に好み。
また、BGMがサイバーっぽいというか、未来感があってとてもマッチしてると感じる。
その統一感はなかなか。
個人的に刺さったシーン
細かいシーンであるが、第1話で九重八雲の修行を受けに道路を移動するシーンである。
あのシーンは、達也が着地時に魔法を使用しており、高速で移動できていることを説明なしで、絵だけで表現している。
個人的に、おっ!と思ったシーンだ。
人に勧められるか?
5点中3点。
確かにおもしろい。
が、やはり魔法・世界観の設定の複雑さ、俺TUEEEというジャンルの特性と、キャラの多さがネック。
誰にでも勧められて、そしておもしろいかと言われると、頭を抱えてしまう。
個人的にはこういった小難しい話は好きだ。
が、一方でストーリーとして考えると、あらかじめ決められた設定と前準備だけで展開が決まってしまうのは、味気ないというのも否定できない。
【映画】「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」レビュー
Webページ:
「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」 | 青春ブタ野郎シリーズ
TVアニメレビュー:
【アニメ】「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」レビュー - Insight Animation
ストーリーとしてはアニメの続き。
例によって、本レビューは劇場版のみを対象とする。
ストーリー
アニメ版の最終回の数日後、大人版の牧之原翔子が咲太の家に訪ねてきて、泊めて欲しいと頼まれる。
一方で、妹の花楓の付き添いで病院に行ったときに、子供版の牧之原翔子と偶然鉢合わせる。
大人版の牧之原翔子の正体、そして牧之原翔子の抱える問題とは。
毎回のように日付が表示されるアニメであるため、時系列がアニメ続きであることがとても分かりやすい。
そして、アニメ版の頃から謎であった、大人版の牧之原翔子の正体と、子供版の牧之原翔子の抱える問題について語られる。
アニメを見たのであれば、本作は間違いなく見た方がいい。
もちろん、劇場版本編だけでも十分おもしろい。
だが、アニメ本編を最後まで見たからこそ、あのストーリーにグッとくるものがある。
特に、12月24日を前にして、どこでもいいから遠くに行きたいという麻衣のあの姿は、もうたまらない。
加えて、本筋である、大人版の牧之原翔子と子供版の牧之原翔子の抱える問題は、どうやって解決するのかと思っていたが。
未来の結果を1回、2回、3回と変えた後で、さらにあんな展開を持ってくるとは予想外だった。
もういい最終回だった、としか言いようがない。
とはいえ、原作・アニメ問わず、あの続きをこれからも続けるというのだろうか?
...だとしたら、物語として成立するのだろうか。
記憶は保持し続けるということが示唆されたので、そういう前提で続くのかもしれないが。
そんな心配があるのは確かだが、物語的なおもしろさは最高潮と言って過言ではない。
ちなみに、キーアイテムがあの紙というのはいいチョイスだと思った。
ただ、一方でひとつ気になったことがあった。
咲太を見つけることができた人間が、あのキャラである必然性とは?ということである。
あまり深い理由付けというか、説明はなかった気がする。
ネタバレになってしまうので明言しないが、より深い絆ということであれば他にいるんじゃないの、と思ってしまった。
そこだけが引っかかったところである。
...だが、さほど大きなマイナスとは思わないが。
演出
相変わらず派手な演出はなし。
ストーリー展開とキャラ描写だけで十分におもしろいので、不要というのも相変わらず。
音楽
エンディングはアニメと共通。
アニメと劇場全編通して、このアニメのテーマなのかもしれない。
ぶっちゃけ、あまり歌詞は好きになれないのだが...。
個人的に刺さったシーン
やはり、麻衣が咲太といっしょに電車で遠くへ行こうとするシーンである。
駅のホームでの麻衣と咲太との会話が、アニメ版を見てきた視聴者にはグッとくる内容だと思う。
加えて、そのあとの最初の12月24日のシーン。
もちろん、ラストの翔子のシーンも十分いいのだが、一番印象に残ったのがその2つであるのは確かだ。
人に勧められるか?
5点中4点。
これはアニメ版未視聴者へのオススメ度であって、アニメ版視聴者であれば、5点に変わる。
アニメ版を見たのであれば、劇場版を見ないのは本当にもったいない。
1点マイナスは、やはり上で書いた気になったところと、あくまで劇場版単体での評価であるという点に尽きる。
【アニメ】「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」レビュー
公式Webページ:
TVアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」公式サイト
湘南、江ノ島が舞台。
「Just Because!」でもこの地域を舞台にしているが、この作者はよほど好きなのか。
映画化もされている本作であるが、本レビューはあくまでアニメ放送のみを対象とする。
ストーリー
高校生の梓川咲太は、ある日図書館でバニーガール姿をした女性を見かける。
その女性は、咲太と同じ高校の先輩で、活動休止中の芸能人でもある桜島麻衣だった。
麻衣は、自分の姿を認識できない人が少しずつ増えてることに気づき、それを確認していたのだ。
咲太は、それが思春期症候群という事象の可能性があること、自分もその事象に巻き込まれていることを告げたのだった。
本作は、大まかに5つのサブシナリオに分類でき、それぞれで主役となるキャラ、思春期症候群に巻き込まれるキャラが変わる。
いずれも物理学、量子力学といった科学的な事象や理論をベースにストーリーが作られているが、思春期症候群という名前もあって、原因はたいてい心理的なものだ。
心理的な不調や傷に対して、なんらかが反応して物理現象を起こしてる、というところか。
思春期症候群という名前が、いかにも学生らしいというかラノベらしいというか。
いいと思ったところ。
ひとつは、女の子がいっぱい出てくるがハーレムではないこと、だ。
最近のラノベは、ハーレム的にいろんな女の子が出てきて、たいていみんな主人公が(恋愛的な意味で)好きである。
しかも、主人公は鈍感だったりして、特に特定の誰かを好きでないパターンもある。
それが嫌というわけではないが、食傷気味ではある。
が、このアニメでは全員が全員そうではない。
中には主人公の親友を好きなキャラまでいる。
一方で主人公が好きである場合でも、ストーリー内でしっかり納得できる形で表現されている。
っていうか、意味もなく主人公が好きなアニメが多すぎるのがいけないんだけどね。
また、主人公の咲太は舞一筋だ。
とにかく舞のために、舞を悲しませない選択肢を取ろうとする。
咲太への好感も持てる。
ふたつめは、しっかりとキャラ描写できていることだ。
思春期症候群が心因的であるためか、ちゃんとキャラクターの考えていることが言葉で説明されているし、また描写もされている。
そういうストーリーだと感情移入しやすい。
おもしろくて当たり前のことである。
...が、やはりこれもちゃんとやらないアニメが多いこと。
一方でダメ...というわけではないのだが、セリフまわしがどうにもラノベっぽいところが多い気がした。
それが気にならないのであれば、問題ないのだが。
演出
派手な演出はなし。
ストーリーとキャラ同士の会話内容が十分おもしろいので、不要というのもある。
音楽
OPのthe peggiesの曲がとても青春らしくていい。
選んだ人はちゃんとわかってるな。
EDの各キャラが歌う曲も、いい意味でアニメらしくない。
また、その回での主役キャラが歌を担当してるのも、いい。
個人的に刺さったシーン
シーンというよりはシナリオになるが、桜島麻衣と豊浜のどかが入れ替わるシナリオである。
のどかの姉に対するコンプレックス、そして好きだけど嫌い...という複雑な感情について語られるシナリオだ。
また、できる姉に対して、好きとか嫌いとか簡単な言葉では語れないという解釈。
咲太の、親に対してどんなことを感じているか...「好き、嫌い、ムカつく、ウザい。それ全部」という感情。
家族内での人間関係は複雑であるということを如実に語っており、とても好きだ。
人に勧められるか?
5点中4点。
ストーリーは概ねおもしろい。
思春期症候群が心理面に起因しており、キャラクターの内面...考えていること、感じたこと、なぜそうしているのか?がちゃんと語られている。
キャラクターに対しての理解、感情移入がしやすく、とても入っていきやすいのだ。
しかしやはり、いかにもなラノベ主人公を好きか嫌いかで分かれそうだ。
なんというか回りくどい表現をする時があって、それがウザいなぁ...と思うことがある。
まぁ、気にしない人は気にしないんだろうけど。
【アニメ】「失われた未来を求めて」レビュー
Webページ:
2010年に発売された、R-18美少女ゲームが原作。
なお、放送当時は作画崩壊と話題になった本作だが、本レビューでは視聴時に影響を与えるほどの作画乱れはないと判断し、レビューには加味しない。
そもそも、最近はやたら作画作画と言われて、もっと内容を見たほういいじゃないか...と煩わしく思ってる、というのが、わたしの率直な気持ちである。
ストーリー
内浜学園・天文学会に所属する秋山奏は、ある日同じく天文学会に所属し、かつ幼馴染である佐々木佳織から告白を受ける。
奏はすぐにはそれに答えられず、答えを濁してしまうが、その日の夕方、佳織は交通事故で意識不明となってしまう。
事故によって失われた、佳織の未来は取り戻せるのか?
簡潔にいうと、本作はループものである。
ひとつ変わっているのは、ループものといえばループするのが主人公である、というのが定番だが、本作では主人公である奏は一切ループをしない。
いや、ゲームの視点で考えれば奏が主人公であるのだが、アニメでは古川ゆいが第二の主人公とも言えるポジョションで扱われている。
そういう意味では、定番に外れてはいないのかもしれない。
原作ゲームは未プレイであるため、この辺りがゲームだとどういうふうに描かれているのかは分からないが。
結論から書くと、本作はストーリーの骨組みはしっかり組めているので、十分におもしろい。
後半で、古川ゆいの正体、どうやって時空転移させるに至った経緯、どうやって転移させるのか、天文学会に置かれていた黒い箱の正体...などなど、一通りの説明がつけられている。
それが実現可能かどうかはこの際どうでもいいのだ。
ファンタジック要素の有無や内容はさておき、ちゃんと説明できていることと伏線を回収できていることのほうが重要である。
そういう意味では、ちゃんと考えられていることが分かる。
香織の事故を回避させる方法について、気になるといえば気になるが。。。
こういった場合で重要なのは、「見る側が納得感を得られるか?」ということだ。
あれこれ理由づけしたところで、結局のところファンタジーなので、納得できるかどうかは見る人によって分かれてしまう。
少なくとも、物理学に知見があまりないわたしにとっては、十分な説明だったとは感じるが、そのことを踏まえた上で判断してもらいたい。
さて、より考えるべきは「本作はスッキリとしたエンディングであるか?」ということである。
時空分岐させることとその結果について後半について説明があり、一見するとハッピーエンドに見える。
しかし、最後にゆいが事故を回避した時空については、果たしてスッキリとしたエンディングと言えるだろうか?
劇中では、「分岐したとしても結果は収束する可能性がある」と説明されている...が、分かれた2つの時空は収束された描写はない。
2つの時空をまとめて、全体的に見ればハッピーエンドと言えるとは思う。
しかし、ゆいが事故を回避した時空は、果たしてハッピーエンドなのだろうか?
あの時空単体で見れば、結局のところ何もないのだ。
2つの時空について、最終話にほぼ並行して描かれてしまったので、スッキリしないように感じてしまうのではないか?というのが、率直な印象である。
最終話で、佳織が目覚めた時空をもう少し重点的に描写していれば、少しは印象が変わったのかもしれない。
もしかしたら、制作側はメインヒロインの佳織と同じくらい、ゆいの活躍を見せたかったのかもしれないなぁ。
間違いなく、本作の主人公は奏であり、ヒロインは佳織であるのだが、ゆいは主人公でもありヒロインでもあるような、そんなポジションである。
露出量を平等にしようとしたら、ああいうストーリーになるのかな。
演出
時間軸が行ったり来たりするストーリーであるので、その辺りを違和感なく表現できてるか?がひとつの判断の分かれ目だろうか。
確かに、第一話とか、いきなり時間軸が戻ったりするのは気になりはする。
...が、他にどう表現したらよかったか?という考えは出ないので、あれがベターなのかもしれない。
ストーリーを理解するには十分な出来だと思う。
音楽
OPの佐藤聡美さんが歌う曲はいい曲だと思う...が、少々推しが強いかなぁとは感じた。
劇中でも、佐藤聡美さんの演じるキャラはオリジナルで、OP曲は劇中でもそのキャラが歌う曲として登場する。
どうやら制作側は相当に佐藤聡美さんを売り込みたかったようだ。
わたしは佐藤聡美さん好きだけどね...決して歌はうまくないとは思うが。
さて、それ以上に取り上げたいのがED曲だ。
キャラが歌う曲であること、タイトルが「明日また会えるよね」であること...と、それだけでかなり重みを感じる。
そして、歌詞も本編にリンクするような内容でとても素晴らしいと思う。
個人的に刺さったシーン
ひとつが、華宮凪沙が奏に「俺たちがいます」と言われて、泣くシーンである。
特に凪沙が好きというわけではないのだが、あのシーンだけで「凪沙、かわいいなぁ」と思ってしまう。
単純なもんだ。
けど、仕方ない。
ふたつめが、佳織が奏に告白するシーンである。
時間軸が複数回描かれるため、実は告白も複数回ある。
しかし、どれも可愛らしくて、いじらしい。
奏が好きだという気持ちが伝わってくるし、いちいち仕草が可愛い。
そんな彼女が奏に「もうただの幼馴染みじゃ嫌なの」と告白するシーンはいい。
みっつめが、ゆいが最後に奏に別れを告げるシーンだ。
この回では、ゆいが「自分は奏が好きなのか?」という気持ちと、「自分の使命と、使命を果たした後の宿命」の中でかなり揺れる話である。
このアニメの一番盛り上がる回でもあり、そのラストはグッとくるものがある。
人に勧められるか?
5点中3点。
全体的にはおもしろいのだが、やはりスッキリしないエンディングが気になる。
いい作品ではあるのだが、オススメできるか?と言われるととても悩ましい。
他に良作がいくらでもあるので、そちらを勧めてしまう、という表現がしっくりくる。
ただ、気になったので見てみたいということであれば、十分楽しめると思う。
あと、ヒロインの佳織ちゃんがとにかく可愛くていじらしい。
【映画】「海獣の子供」レビュー
Webページ:
「鉄コン筋クリート」、「ハーモニー」のSTUDIO4℃の作品。
製作におよそ6年はかかってるらしい。
ストーリー
海辺の街(江ノ島近辺)に住む女子中学生・琉花(るか)は、夏休みのハンドボール部の練習でちょっとしたいざこざを起こしてしまい、夏休み初日から暗い気持ちを抱えていた。
ふと、幼い頃に来た水族館に行った琉花は、海でジュゴンに育てられたという少年・海と出会う。
続く翌日、海を探しに行った砂浜で、今度は海の兄である空と出会う。
琉花と海と空、3人のひと夏の不思議な出来事が始まる...。
本作は、マンガ原作であるが、ストーリー構成が多少変わってるとのことである。
マンガのほうはわたしは読んでいないためよく知らないが、映画自体はひと夏の琉花の成長物語になっている。
序盤で、ハンドボール部で問題を起こしてしまう琉花の姿と、終盤でその問題を起こしてしまった相手へ向き合おうとする琉花の姿が、うまい具合に対比になっている。
海と空、そして3人で関わった不思議な出来事、そのほかのいろんなキャラクターと接したことで、成長したのがよく伝わってきた。
一方で、本作にはとても大事なテーマというか、メッセージが語られている。
我々人間もまた、宇宙人であり、宇宙の一部なのだ、ということ。
そして、人間の感覚や科学的な観測では決して捉えることができないものが、宇宙の大部分を占めているのだ、ということ。
演出にも関わることだが...空と海、そして海の中の生物の描写を通して、自然の壮大さや雄大さ、そして不思議さを強く感じ取れる。
基本的には満点をつけたい本作だが、あえてマイナス...というべきか、気になるところをあげるのであれば、全体的にハイカロリーであることである。
独特な絵、ファンタジックなストーリー、凄まじく書き込まれた空と海と生物たち、効果音、そして終盤の描写...と情報量がとても多いのである。
まず、間違いなく1回では上記のテーマまで理解が追いつけないのではないだろうか。
わたしの場合、たまたま製作者の舞台挨拶を聞くことができ、そこで語られて初めて「ああ、そう言えばそんなことを言っていたシーンがあったな」と思い出したレベルである。
ストーリーが1回見ただけではぼやけて捉えてしまいがちなのだ。
そう、逆に言うと、本作は1回見ると間違いなく複数回見たくなる。
それだけの力がある作品だと感じた。
演出
その力のひとつ、演出である。
本作はそもそもからして、キャラ描写がとても独特でマンガ的である。
一方で、風景や海、そして海の生物が凄まじく細かく描写されている。
琉花が海を潜るシーンがなんども出てくるが、人間が息をしなければいけないのがもどかしいとすら感じた。
実際に自分が潜っている訳ではないのに、である。
海と空は皮膚呼吸ができ、息継ぎの必要がないという設定である。
琉花がその2人にはどうしたって追いつけない。
泳法や息継ぎの有無といった差があって、追いつきたいのに追いつけない。
その琉花のもどかしさのような、悔しさのような、そんな感情が伝わってくる描写だった。
そのほかだと、やはり迫力があり、そして雄大な自然を感じることが出来たのが、ザトウクジラが海面から飛び出し、そして海面に潜る描写である。
アニメであそこまで表現してしまうのか、ととても衝撃を受けた。
海の生物たちの描写の力の入れようは、生物の不思議さと愛おしさを感じられる。
この映画の魅力のひとつだ。
一方で、これまたマイナス...というか、気になったところを書くとすれば、終盤の隕石や宇宙人の表現がファンタジックすぎること、そして少々長くてくどいことである。
まぁこれは個人によって十分と不十分のバランスは、とても感覚的なものであるので、あくまで個人目線でそう感じた、と思って欲しい。
音楽
ピアノを中心とした劇伴、エンディングの米津玄師の曲は素晴らしい。
...のだが、何より個人的に取り上げたいのは、音楽というよりは効果音である。
特に、クジラの鳴き声(劇中ではソングと表現されていた)がすごいのである。
たまたま、自分が見た映画館の音響のせいなのか、クジラの鳴き声の重低音が耳だけでなく肌にも伝わってきた。
これはさすがに映画館で見ないと体感できない、この映画の魅力のひとつかもしれない。
個人的に刺さったシーン
やはり、まずはザトウクジラが海面から飛び出すシーン。
これはもう実際見てもらえればわかる。
続いて、海と空を追いかけるように琉花が潜り、泳ぐシーンである。
琉花の視点で描かれており、琉花が水をかいて泳ぐさま、水泡が流れる様子がとても細かく描かれている。
そして、琉花が自転車を漕いで海岸を走るシーンである。
雨の中を自転車で走るのだが、水中を走っているかのような、感覚的な描写で描かれている。
水を舞台にした本作ならでは、である。
最後に、序盤の琉花が坂道を駆け下りるシーンである。
これは本作の独特な人物の動きの描写と、絵画的な風景と、そしてCGによる滑らかな画面移動が同時に体感できるシーンである。
些細かもしれないが、個人的にとても印象が深いシーンだ。
人に勧められるか?
5点中5点。
独特で綺麗すぎない人物の描写、力の入った空と海と生物、独特でファンタジックな演出、そして深いメッセージとテーマ性、迫力ある効果音...と、とにかくハイカロリーすぎる内容。
そして、終盤のファンタジックにすぎる描写と気になるところはある。
これは賛否両論とそして人によって受ける受けないがハッキリ別れる作品であることは間違いない。
だがそれでも、一度は見て欲しいと勧めたくなる。
しかも、これはぜひ映画館で見るべき作品だ。
そして、一度見てその内容に衝撃を受けたなら、何度となく見たくなる。
見ないと理解が追いつけない。
理由はとにかく一度見れば分かる。
なんという作品を作ってくれたんだ...。
こうやって書いてるうち、また見たくなってくるじゃないか。
都内では、やってる映画館がもうほとんどないのが惜しい。